OASIS -クリスマス童話- 8

 「ずいぶんと思い込みの激しい男の子だったのですね。」
 笑顔が先ほどまでの警戒心を吹き飛ばしたかのように輝いていました。
 
 「ありがとうございます。」
 商家はそう答えました。
 
 「おやおや、何を言ってもありがとうなんですね。」
 女王は更に笑います。
 
 「他に返す言葉を知らないもので。ありがとうございます。」
 商家は少し照れてそう答えました。
 
 そうしてひとしきり、お互いに笑いあって、その後商家が話し始めました。
 
 「女王様、実は折り入って話がございます。今のこの国の産業についてですが…」
 
 商家の話は簡潔でした。国外との取り引きを行う際この国では、女王が自ら判を押して物のやりとりを行っていたのです。それはひとえに女王の国を護りたいという願いから発した決まりごとであり、そのおかげで国内の産業は苦しい思いをせず、のびのびと独自の生産物を作り出していたのです。
 
 しかし商家の言うには、そのせいで伸び悩んでいる生産者がいる、とのことでした。多くはその庇護のおかげでのびのびと、言い方を変えればダラダラと同じことを繰り返し、競い合うことも忘れ勝ち取る喜びも失くし、新たな生産物の製作にも挑まず、だらけてしまったと言うのです。
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by MemenCrital | 2011-12-24 20:58 | 童語り:みんなのどうわ | Trackback

泣く、笑う、怒る、楽しむ。そんなことが自然にできる、そんな世の中であればいい。


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