OASIS -クリスマス童話- 9

 商家は更に言いました。
 
 「今のままでは女王様、あなた様がいなくなった途端にこの国は瓦解するかもしれません。それでは願いとは違った国になってしまうのではないでしょうか?」
 この言葉は女王の胸にグサリと突き刺さりました。
 
 もともと頭のよさに秀でた女王です。自分の心配性からくる過保護が国や家族にどのような影響を及ぼすか考えたことがなかったわけではありません。護られすぎてしまえば人は怠惰になる。その言葉は先王から何度も聞かされてきた言葉です。しかし、と女王は考えました。
 
 「しかし、私にはまだその準備が無い。お前の言うように諸外国との交渉を国民に委ねるようにすることで、何がおこるのかを考えると空恐ろしい。」
 女王は嘘偽りなく商家に対して思いを口にしました。
 
 「そうですか。おっしゃることもわかります。未だ国外へと出向く話をすると、他の商人たちは腰が引けてしまうものが多くあります。では、女王様の準備が整うまで私めは私めの役割を全うするとしましょう。」
 そう言うと商家は城を後にしました。
 
 女王はどうしたらいいかと悩みながら、その夜は過ぎていきました。
 
 翌日になると今度は、例の踊り子が自らお目通りを願い出て、また城の中で今度は少し違った踊りを披露しました。
 
 前回の一日を踊るテンポの良いものではなく、今回は四季をテーマに、この国ではない東の果ての国にて習い覚えたという優雅で美しい所作の踊りに、またも女王は心を癒された気がしました。
 
[PR]
トラックバックURL : http://mentalc.exblog.jp/tb/14239793
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by MemenCrital | 2011-12-24 20:58 | 童語り:みんなのどうわ | Trackback

泣く、笑う、怒る、楽しむ。そんなことが自然にできる、そんな世の中であればいい。


by Memen