OASIS -クリスマス童話- 11

 商家が再び登城を願い出たのは、最後にお城に来てから半年が過ぎた頃でした。女王の前に進み出た商家は以前とは変わってスッキリとした体型となり頬が痩せこけていました。
 
 「何事かありましたか?ずいぶんとやつれたように見えますけれど」
 
 「大したことはありません。ほんの暫く隣国へと赴いていました。」
 
 「あらあら、それは大変でしたね。」
 
 「女王様!是非ともお願いがございます。以前申し出てお断りされた件を蒸し返すようで誠に申し訳ございませんが、此度は隣国にても女王様と同じように考える王にも相談して参りました。その上で申し上げます。私の誠の心をご理解いただくために是非とも隣国との貿易を一手にお引き受けさせてください。出ました利益は全て国へと還元させていただきます。必要な経費分をいただけましたらそれで十分でございます。どうか是非ともご検討いただけますようお願い申し上げます。」
 
 女王は暫く考え込み、そうしてゆっくりと答えました。
 
 「何を見聞きして何を相談してきたのかは知りませんが、その様子をみると大層ご苦労なさっておいでの様子。いいでしょう、思うとおりにして御覧なさい。そして利益に関しては折半でかまいません。国内の産業が対外的にも競い合えるようになりましたら、更に利益をその方へと還元いたします。」
 
 商家は、感動してその場で膝をつき涙を流しはじめました。
 
 「おやおや、どうしました?」
 
 「嬉しくて泣いているのです。これでようやく、あの日夢に見たスタート地点に立つことができました。これが泣かずにいられましょうか?」
 
 「おやおや、やはりあなたはずいぶんと思い込みが激しいようなのですね。まるで青年のようですわ。」
 
 女王はそう言うとコロコロと笑い出しました。その笑い方があまりにもかわいらしかったため、商家もつられて笑い出してしまいました。
 
 「あらあら、まるでカラスのごとくですわね。」
 
 「さようでございますか。しかしつられてしまう気持ちばっかりはどうしようもありません。」
 
 こうして、この国の何かが変わりだすキッカケが生まれていきました。
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by MemenCrital | 2011-12-25 00:03 | 童語り:みんなのどうわ | Trackback

泣く、笑う、怒る、楽しむ。そんなことが自然にできる、そんな世の中であればいい。


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