OASIS -クリスマス童話- 14

 「気楽に?」
 女王はオウム返しに踊り子に尋ねました。
 
 「はい、そこまで深くお考えいただくようなものではございません。見て楽しく、また叶いますなら踊って楽しく、音を楽しみ踊りを楽しみ、歓喜を呼び起こすものが踊りにてございます。国政を傾けるような大層なものではございません。せいぜいお心を一時、開放し自由さを取り戻していただくためのものでございます。」
 
 その言葉に女王は感銘を受けた気がしました。踊りを見て自分の心が自由さを取り戻していたのだと理解したのです。
 
 「ありがとう。あなたに逢えてとても嬉しく思います。ずっと求めていたものがどんなものなのか、これまでわからないまま憧れていました。それをあなたは、目の前で私の心に理解させてくれたのです。」
 
 女王の言葉に踊り子は照れた笑いを浮かべ答えました。
 「そんなこと、私こそ感謝してます。女王様に逢えて、認めてもらえて、劇場まで手に入れることができました。これ以上いらないって叫びたくなるくらい、何もかもが一度に手に入って、だからそのお礼にお城へと来るようにしたんです。」
 
 女王は優しく微笑むと、踊り子の頭をそっと撫でました。少し驚いたあと、踊り子はまるで子供のように涙を浮かべこう言いました。
 「今までずっとひとりだったんです。だから嬉しくて。」
 
 女王はそのまま優しく踊り子を抱きしめると、踊り子は今までの強がりがどこへいったのかと思うくらいに泣き出しました。
 
 「辛かったわね。もう大丈夫よ。」
 女王の顔に母親の表情がわきあがっていました。
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by MemenCrital | 2011-12-25 00:06 | 童語り:みんなのどうわ | Trackback

泣く、笑う、怒る、楽しむ。そんなことが自然にできる、そんな世の中であればいい。


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